言われて気付く。
そうだよ、私は新様にエプロンの所在を聞こうと思って…ッ
「ぁの、エプロンを…、」
『ぁあ、なるほど。ごめんね、気付かなくて…はい。』
新様は全然謝らなくても良いのに謝ってくれるところが好きになる。
エプロンをもらった私は手を洗い、シチューを作り始めた。
…――のは良いのだが、
「ぁのー…、」
『ん?どったの?おねーさん。』
「いや、こちらこそ…そんなに見られましても…ですね、」
さっきから斜め後ろから注がれる熱い視線に耐えていた私だったが、ついに痺れを切らしてしまった。
そんなに新様に見つめられると、思うように料理が出来ないというか…、
言ってしまえば、かなり緊張するし、かえって気が散ってしまうのだ。
『ぁあ、邪魔しちゃったね。…でも、おねーさんの包丁裁きがあまりにも速くてきれいだから。』
「なっ…!!」
ザクッ
「!」
『っわ、ちゃんと集中して、』
あまりに不意を突かれて、危うく手を切りそうになった。
「す、すいませ…、」
『謝らなくていいから、気をつけて。』
「は、はい…。」
新様に注意されて気が沈む。
ショボン…、としていると、
『――にしても上手だね。いつも自分で料理してんの?』
いつも通り、新様はにこにこ顔に戻っていた。
「は、はい…自炊なら出来ますよ、だいたいは。」
なんてったって、一人暮らししてますから。

