誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―



――バタン、

「ぉ、邪魔いたしますっ」

『どうぞー。』


新様のお家に入り、靴を脱いで、ちゃんと靴を揃える。


『…で、何を作ってくれるの?』


振りかえった先にはスーツの背広をハンガーにかけている新様。

ブラウス姿になると、ソファに座っておられた。


「はいっ…実は、新様のお好きなものが存じ上げなかったので、本日はシチューに…」

『シチュー!?』

「っ!?は、はいっ!」


新様にメニューを言うと驚かれて、まさかお気に召さないものかと思いきや…


『おねーさん!奇遇だね!俺、シチューは大大大好きなんだ!』

「…はっ、はひっ…///」


自分に言われたわけではないのに、大大大好きといわれて赤面しないわけがない。

シチューなのに…

私じゃないのに…

だけどっ、

やっぱり、可愛い!!


『俺、着替えてくるから、早く作って?もう腹ぺこぺこ。』

「はっ、はい!今すぐに!」


去っていく新様を前に、また赤面。

わぁーーっ!

新様の着替え姿なんて考えるなッ、私!

バカバカバカーーっ!!