誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―



「ぁ、」

『今日はどうしたの?』


新様が近付いてくる。

その間、私の心臓はバックバクだ。

……会えた。

新様だ。

…新様に、会えた。


『…おねーさん?』

「へっ!?ぁ、ぁあっ、せ、先日は、かなり私がお世話になりましてっ!」

『ぁは、全然いいよ―?』

「はっ、ぁぁありがとうございます!ほっ、本日はですねっ、先日のお礼の方をさせていただくために参上した次第でありましてですねっ」

『ぁ、ありがとー。おねーさんって律儀ー。』

「っ……」


新様に褒められて、ちょっと照れる。

…って、そうじゃなくてッ!


「ぁ、新様!」

『?何?おねーさん。』

「新様のご厚意には及ばないと思いますがっ」

『うん?』

「……本日の夕食、私の手料理を食べてくださいッ!!」


失礼のないように、ちゃんと深くお辞儀もして。

私の最大限の思いが伝わるように、力を込めた。