誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―




『愛実って、別れ話する時ってものすっごい、周りの大っ迷惑になるくらい泣くじゃない?』

「………」


当たってるけど、その言葉にはかなりの嫌味が含まれているように感じるのは、私だけでしょうか?


『何か言いなさいよ。あたしの解析が、当たってないとでも?』

「ぃ、いえ、大正解でございます…。」


出たよ、皐月の本性。

本っ当にSっ気で女王様気質なんだから。


『ま、とにかく、いつもはあたしを恥にさらすようなことしかしないあんたが、今みたいに全然泣かずに至って普通なところからおかしいでしょ。リョウにフられただけだったら、今日あたしに会ったときだって一目散に私に泣きついてきただろうし。』

「な、なるほど……。」


確かに。

言われてみればそうだ。

やっぱり、私に心の痛みが感じられないのは、新様のおかげってことだよね。


『だから、何があったの?』

「……ぇっと、」


皐月に話せばいいことだと思う。

だけど、あまり話したくない。

はら、本当に好きな物や人は、あまり教えたくないってやつ?