誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―



今回も、あっさりとフられてしまった。


『ちゃんとそのこと、覚えて付き合ってたの!?あたしの言葉、実行してたわけ!?』

「ぃ、いえ……」

『はぁ!?』


ひっ…!

私が皐月の威圧で小さくなっていくのは、もちろん皐月の言葉を実行していなかったからで……、

皐月の怒りボルテージを上げないようにするのが精一杯だ。


『はぁ……それで?』

「え?」

『他になんかあったんでしょ?』

「…………ぅえっ!?」


今は、皐月の“うるさいわよ”なんていう言葉は気にならない。


「なっ、なんで分かっ…!?」


私一言も話してないよね!?

新様のことなんて、1ミクロもしゃべってないよね!?

え!?え!?と驚く私に、ウザったそうに皐月は…――、


『だって、今日は泣いてないし。』


と、あっさりと答えをくれた。