誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―




「昨日ね、」

『うん。かなり最近ね?』

「うん、昨日ね?リョウくんに呼びだされたの。私の家の近くの……公園に。近くまで来てたからって。」

『うん。』


なぜだろう。

いつもなら、皐月にこういった類の話をするとき、胸が痛くて苦しくなるのに、

…――何故か今は、全然心が痛まない。


やっぱり、新様のおかげかな?


「そこで、また“重い”って言われて…ふ、フられたの。」

『………』


そこまで言うと、途端に何も言わなくなった皐月。


「さ、皐月?」


不思議に思って遠慮がちに皐月を見ると、


『あのねぇー、愛実!』

「はっ、はい!」

『あんた、真面目に恋する気あんの!?』

「へっ!?」


凄い形相で皐月に睨まれた。

ひっ…

怒った皐月が1番怖いよぉーーっっ!


『いつもいつも、あんたは“重い”言われててさ、今回リョウと付き合いにしたって、重いって思われないように気をつけなさいって、あれほど言ったわよね、あたし!?』

「っっ……は、はい…」


皐月に怒られてシュン、となる私。

実は、リョウと知り合ったのは皐月が幹事をした合コンだった。

皐月は前からリョウくんと知り合いで、皐月に紹介されて私が一目惚れ、亮くんに猛アタックして付き合った、のだけれど……、