誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―




「何だよ、それ…。」

『私が悪かったんです、全て…。ごめんなさい。私が…新様の前に現れたから…!』


湧きあがるのは、やるせなさ。

何だよ。

あゆみんは、勘違いして、もう区切りをつけようとしてる。

何でそう…いつもいつも自分で解決しようとするんだよっ…!?


『新様には大切な方がいらっしゃって…、それを知らなかったとはいえ、そんな新様に近付いたのは私なんです。でも、もう一切新様の前には現れませんから。本当に…ごめなさ――…っ!?』


気付いたら、止まらなかった。

もう俺とあゆみんの出会いを、なかったことにしようとするあゆみんを、もう見たくなかった。

だから――…あゆみんにキスをしてしまった。

あゆみんの口から出てくる拙い言葉を、止めさせるために。


「大切な人…?それは誰のこと?」

『な、に……』

「悪いのは私?…愛実、ふざけたことばっかり言ってると、もう俺でも怒るよ?」

『っ…!?』



突然、女の子の唇を奪うのは、最低だったかもしれない。

でも、もう止められなかったんだ。

こんなにも、独占欲ばかりが出てくる自分がいるなんて、知らなかった…――。