誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―




それから5分ほどたって…、


――『すみませんっ!』


ようやくあゆみんが現れた。

時刻はもう9時を回ろうとしている。

「ぁあ、やっと来た。」

『ごめんなさいっ…!寒い中待たせちゃって…、』


やっと2人きりになれて、あゆみんを抱きしめたい衝動に駆られるが、なんとか我慢。


「ん、ううん。全然。…お腹空いてない?」

『え、』


お昼から何も食ってない俺は、もう腹がペコペコ。


「ご飯食べにいかない?」

『ぇ…っと、』

「行こう!ねっ」

『あっ、ちょっ…!』


あゆみんの戸惑った雰囲気に気付いた俺は、あゆみんの返事を聞かないとでもいうように、あゆみんを強引に連れだした。