誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―




遮ったのは――…


『愛実ねぇちゃん…!』

『ひ、秀人くん!?』

『おねえちゃん~!!』


青いパジャマを着た、小さな男の子。

あゆみんを見つけた瞬間、あゆみんに抱きついた。

・・・羨ましいな、マジで。

あんな風に、抱きしめてもらえるんだから。


『どっ、どうしたの!?こんな時間に…、』


ひでとくん、と呼ばれる男の子に話しかけるあゆみんの後ろ姿は、…母親に似ていた。


『秀人くん?もうお部屋で寝てなきゃダメでしょ?』

『だって…、』

『ん?』

『愛実ねぇちゃんが来てくれないからぁ~!』

『秀人くん…。』


きっとその子は、あゆみんが大好きなんだ。

一瞬でそう分かった。

あゆみんはその子のことをどう思っているのか、俺は知らないけど。

俺の恋敵は子ども…?

と思うと、少し複雑な気分になった。