誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―




「子どもの扱いも、上手なんだね。」


これが、一番俺があゆみんに言いたかったこと。

あゆみんが子どもの扱いに長けてるなんて、全然知らなかった。

…まぁ、知り合ってそんなに長くないのに、そんなことまで知ってたら逆に凄いのか。


『それは…。……私、小さな時から年下の子たちと遊ぶことが多くて、泣いてる子とか、ほっとけないから、私。だから、あやすのは得意で。子どもたちの笑った顔、すっごく可愛いんですよ。だから、そんな子どもたちの笑顔、もっと見てたいなって、思ってたんです。』


初めて聞く、あゆみんの心のうち。

純粋にこの仕事が好きなんだなって、すぐに分かった。


「そうなんだ。…子ども、好きなんだね。」

『はいっ…とても好きです、大好きなんです!』


俺の小さな皮肉にも、あゆみんは何も気付かず、むしろ嬉しそうに即答して、可愛い笑顔で笑った。


「…いいな、そんな風にあゆみんに愛されて。」

『・・・え?』


気付かないうちに、俺は本音を零していた。

純粋に、あゆみんにそんな風に思われてる子どもたちが…、


「羨ましいよ。俺は――」

『愛実ねぇちゃん…?』

『っ……』


もうちょっとで告白できそうなのに、それを遮られた。