誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―




『原因は、おそらく生卵でしょう。きっと賢吾くんが口にした生卵は、もう賞味期限が切れていたのかと。』

『っ…それで、賢吾は…ッ!?』

『2,3日入院が必要となります。今夜が山です、お母さん。』

『ぁあ…っ…賢吾ぉ…!』


顔を蔽い隠しながら大泣きする優梨子さん。

これまであの上品な優梨子さんが崩れるとは思っていなかった俺は、やっぱり母親なんだなと思った。


『一度、賢吾くんと面会されますか?』

「ぁ、はい…!」

『…ではこちらに。』


ここで俺が返事するのはどうかと思ったけれど、優梨子さんのためにもと思い、通されたのは診療室だった。

そこには、あゆみんもいた。


『賢吾!』

「賢吾くん!」


診察台に横たわる賢吾に、優梨子さんに続いて俺も駆け寄る。

さっきよりもなんだか苦しそうだ。


『…ベッドは。』

『手配しました。今、釘宮さんにベッドメイキングをお願いしています。』

『そうか…。』


賢吾のことを心配しながら、俺は後ろにいるあゆみんたちとの会話にも意識を集中させていると、、、


『うっ…』

『賢吾!?』

「!!」


賢吾がついに、吐いた。