誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―




『看護師さん…!賢吾は…!?』


一回は落ち着いたものの、優梨子さんは今度はあゆみんに詰め寄った。


「お母さん…。あの、質問があります。ここ数日、賢吾くん、何か生ものを食べませんでしたか?」

『え?』

『水川さん、それって…、』

「…ぇえ。それでお母さん、お心当たりは?」


俺達にはさっぱり分からないが、一緒にいたナースさんはあゆみんの質問で、賢吾の病気が分かったらしい。

優梨子さんは困ったように考え込んでいる。

4人の間に、緊張が走った。


『そういえば…、』

「思い出しましたか!?」

『生卵!あの子、卵かけごはんがとても好きで、昨日の夜も――!』


そう聞くなり、あゆみんはまた診療室に駆け込んで行った…。