ピピピッ ピピピッ
すると丁度よく体温計が鳴った。
「賢吾、ちょっとごめんな…。」
脇をしめている賢吾から体温計を抜き取って、表示画面を見ると――…
「――38,2℃!?」
予想よりはるかに高い数値に驚いて、焦った。
『ごめんなさい、滝さん!蒼が――…』
「ぁあ、優梨子さん。良いんですよ、そのことは。それより、賢吾くん、思ったより熱が高い。早く病院に運ばないと――…、」
『は、はい。そうですよね。えっと、ここから一番近い病院は――…、』
「ぁあ、それなら、市立総合病院が近いから、そこへ。」
『はい!』
蒼の言ったとおりだった。
車を回して戻ってきた優梨子さんは、蒼が言ったとおりに動揺していて、結局、病院に向かう時も俺が運転することとなった。

