誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―




今まで、俺は周りの人間とは違う恋をしてきた。

いや…あれは恋愛とはいえない。

なぜならば、俺が相手に好きという感情を持っていなかったから。


告白されれば付き合って、合わないと感じたら別れる。

その繰り返し。

何度女の子を泣かせてきたか分からない。


大人になって、もう女の子を泣かせるなんてことはしたくないと思った俺は、この7年間ずっとフリーだった。

告白されても自分の感情が相手になかったら付き合うことはない。

その分、初恋の相手には俺の今までの愛をぶつけようと…心に決めて。


『恋はいいもんだぞ?自分を成長させてくれる。何より…、』

「幸せ、なんだろ?」

『、……!』


もしかしたら、彼女を大切にできないかもしれない。

自分がどんな恋愛体質なのかも分からず、恋もしたことがない俺を、彼女は重たいと感じるかもしれない。

でも・・・


『新、お前っ――…』

『新兄ちゃん、遊ぼーっ!』

「おっ、…いいよ、何して遊ぶ?」

『ちょっ、新ッ!?』


やっと見つけた愛しい人。

絶対、彼女を離したりなんかしない――。