誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―




さっ、もう帰ろうかな。

そう思って回れ右をした時だった。


「……!」

『あゆみん…、』


目の前に、新様がいた。


『ちょっと、いい?』

「…はい――」


何を言われるのか、想像出来るような出来ないような、

そんな不安定な状況の中、私は新様と話すことを決めた。


――――――――…
―――――…

――『あゆみん、看護師だったんだね。』

「え、」

『びっくりした、とても。』

「………」


私もびっくりしましたよ。

新様が結婚してて、子どもさんもいたなんて。

会った時は結婚指輪、してなかったのに――…


『似合ってたよ、白衣の天使。』

「……///」


でも、分かってても、好きって気持ちは変わんないよ。

新様は既婚者だって分かった今でも、こんなに新様とまた話すことが出来て、嬉しいんだから。