誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―




『情報収集においてはまだまだだったが…。』


…やっぱり、怒られるんだ。


『でも、患者が吐いた時の対処の早さは見事だった。』

「南先生……」


び、びっくり。

あの、ののしることしか頭使ってないって言われている南先生が今、ほっ、褒めてる…!


『…んだよ。』

「…いや、南先生も、褒めることあるんだなって……」

『うっせ』

「クスッ…!」

『んだよ!』

「ぃ、いえ…!」


ちょっと可笑しくて笑ったら、また睨まれた。

分かんないなぁ、この人。


『じゃぁもう戻れ!』

「え?」

『…なんだ。』

「…それだけですか…?」

『…ご苦労さん!』

「ぷっ…ご苦労様でした。失礼します。」

ガラッ


笑いをこらえながら、診療室を出た。

意外と可愛いところあるんだぁ、南先生って(笑)