誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―




「点滴終わりましたー。」

『お疲れー。あ、南先生から呼び出しだよ。』

「…え。マジですか…?」

『いってらっしゃーい!』


ぅえー…。

ナースステーションに着くなり、私のテンションガタ落ち。

もともと高くはないけど…。

けど、南先生からって…。


南先生は腕は良いんだけれども、すっごい口が悪くて有名な先生。

子どもには超優しいんだけど、看護師とか先生たちにも口が悪い。

あの時あーだったとか、テンポが遅いとか、こういう時の対処は早くしろ、とか……

とにかく、病院内での評判は最悪に限りなく等しい。

でも、まだ私は南先生からきつく言われたことはなくて…

今日のどこが悪かったのかなぁ、と思いながら、賢吾くんを診察した診療室にやってきた。