誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―




でも。


「そうだよね。お姉ちゃんも嫌いだった。お注射とか、点滴とか。」

『おねぇちゃんも…?』

「うん。あの、針が迫ってくる感じとか、怖くて怖くて……。でもね、お注射すると、病気は早く治るんだよ。」

『本当に…?』

「本当!それに、お注射は病気から賢吾くんを守ってもくれる!すごいでしょ?」

『…うん!』


注射は、できれば克服してほしい。

だって、注射のおかげで、私達は病気にかからなかったり、病気を重く煩わせることなくいきていけることも事実だから。


「賢吾くんは今、辛くて辛くて、早く元気になりたいでしょ?」

『うん…。』

「だったら、お注射して、元気になろう!大丈夫、こう見えてお姉ちゃん、お注射上手なんだから~」

『ホントに!?』

「任せなさい!注射なんて、モノの1分で終わらせてあげる!だから、しよう?勇気出してみて、賢吾くん。」

『おねぇちゃん…。うん、ぼく、がんばる!』

『賢吾…!』

「よし!格好良いぞ、賢吾くん!じゃ、すぐ終わるからね、」


見つけた賢吾くんの血管が浮き出たところをアルコールで拭いて、針を準備。


「ちょっと、チクッとするからねー…息止めてー」

『っ……』

「はいっ、終了!よくできましたー♪」


針を入れて、敵数を確認した後、点滴セットの片付け。

あー緊張した!