『点滴、よろしく。』
診療室を出るとき、南先生にそう言われた私は点滴セットも持って507号室へ。
「…賢吾くん、もっと良くなるために点滴しよう。ねっ?」
もう賢吾くんの病室には母親や新様もいた。
2人に見つめられながら点滴するのか…辛いな。
『…看護師さん、賢吾は注射が苦手で…』
「そうですか…」
母親にそう言われ、賢吾くんを見ると、賢吾くんは恐怖でいっぱいという表情を見せた。
…困ったな。
「賢吾くんは、お注射嫌い?」
『うん…』
「どうして?」
『痛いから……』
大抵、注射が嫌いという子どもたちの理由は、注射は痛いってこと。
そりゃそうだよね。
痛いの嫌だもん、私も。

