私の家庭環境はアイツが現れるまでは平凡な毎日だった。
私が5歳の時に両親は離婚したが、母が必死に働いてくれたお陰で私は不自由無く母の実家で暮らしていた。
ばぁちゃんは厳しいと言うか、ヒステリックな人でちょっと迷惑なところもあったが脳天気だった私にはあまり関係ない事でお客さんが来た時や親戚の家に行った時だけ大人しくいい子にしていれば、ばぁちゃんはご機嫌だった。
大人って単純だから望む事をしてあげれば怒らないしお小遣いをくれる。
母は仕事ばかりで母に構って貰った記憶はあまり無い。
お互いにお互いの事、性格とか知らないで過ごしていた。
知る暇もなかったし、知る必要もなかった。
親子だから一緒にいるんだもの。

ただ、寂しかった。
でも母が私の為に頑張ってくれているのはわかっていたから我慢出来た。
こんな毎日が続いて行くんだろうって考える事も無く当たり前の毎日を過ごしていた…あの日までは…。