《入学式》

「さくらら なるちょっと来いよぉ。」

見た事もない男の子に呼ばれた。

私の名前を呼び間違える人に呼ばれる筋合いはない。

私は無視してこれから1年間共に過ごす人たちの名前が

書いてある名簿を小走りで見に言った。すると幸運にも信乃と

同じクラスになれた。信乃とは中学から仲良しな友だち。

喜んでいるのもつかの間、さっき私の名前を呼び間違えた

男の子が「なるちゃーん?」と言いながらこちらに向かってきた。

「あの、初対面なんですけど...誰ですか?」

「あっ俺!?櫻波 宏弥。...よっしゃぁ奈留ちゃんと一緒じゃん。」

何言ってんの?と思いながら宏弥が指さす方向を見て私は息を呑んだ。

私の名前の下に宏弥の名前が...

こいつと1年間も同じクラスー!?

無理無理無理!!!!教室に上がるとやっぱり宏弥は私の席の後ろに

座っていた。私が用意をしてると宏弥が急に振り返ってうれしそうに言った。

「俺たちの担任の水澤って席替えしない主義なんだって!!」

「はいはい。」

流そうと思った。でも大切なことだった。

「この席の関係が長く続く...ヤダ。」