一途な彼女と意地悪な彼の物語

「葵?どうしたの?」

紗英ちゃん…

「大丈夫?」

「紗英…ちゃ…ん…」

息が上がってうまく話すことが出来ない私

「落ち着こ、葵。あたしとしぃと千波しか葵がここにいることは知らないから」

「しぃと…千波…は…?」

「矢沢にバレないように見張ってるよ」

紗英ちゃんは優しく私の頭を撫でた

「紗英ちゃん…葵…もうダメ…だよ…」

私はさっきの出来事を紗英ちゃんに話した

「うん…そっか…」

「先生が…葵のこと…嫌いなの…葵…ちゃんと…わかってる…」

「うん」

「でも…あんな風に…あからさまに…他の子と…態度変えられたり…冷たくされると…」

「うん」

「葵だって…悲しく…なっちゃう…よ…」

「葵…」

再び涙が溢れた

「葵、紗英ちゃん。授業終わったよ」

「先生にはバレてないっぽいよ」

しぃと千波が体育倉庫に入ってきた

私は紗英ちゃん達に支えられながら立ち上がり

体育倉庫を出た

グラウンドには誰もいなかった