「あっ、あれ矢沢じゃない?」

紗英ちゃんが指をさす方向を見た

「わかんないよ。遠すぎて」

私と紗英ちゃんは屋上にいた

今はお昼休み

「体育祭以来、会ってないんでしょ?」

「うん、まぁねぇ」

「朝は?」

「行ってるよ、一応。でも、なんかすぐ職員室戻って行っちゃうからあんまり話せてないかなぁ」

体育祭から1週間ぐらい経っていた

体育祭のリレー以来、矢沢先生はモテるようになった

先生の周りにはなんかしら人がいるようになり、私が会いに行けるような状態じゃない

「なんか、矢沢。モテるようになったね」

「そうだね」

私は遠くの先生を見ながら言った