私は走り出していた

矢沢先生の元へと

雷管が置いてある場所にはいなかった

周りを見渡した

いた…

先生は本部の隅にあるイスに座っていた

私は気づかれないように先生の隣にあるイスに座った

先生は息をきらしていた

苦しそうだった

「先生!」

私は先生に声をかけた

「びっくりした…」

「びっくりした?」

「おぉ…」

「ねぇ、先生?」

「あ?なんだよ。俺は苦しいんだよ。話しかけんな」

先生はまだ苦しそうにしていた

「先生、頑張ってたもんねぇ」

「…」

先生は何も言ってこなかった

私は勇気を出して言った

「先生、超かっこよかったよ?」

「…お前にモテたって嬉しくない」

はぁ…

私の勇気は水の泡だった

「なんで、そういうことしか言えないの?ありがとう。とか言えないの?」

ムカついたので言い返した

「本当のことだから仕方ねぇだろ」

なんて奴だ…

『生徒のみなさんは入場門へ集まって下さい』

アナウンスが入った

「お前、さっさと行けよ」

「行くよ。バカ…」

私は走って入場門まで行った