一途な彼女と意地悪な彼の物語

私に応援席に戻ってもボーッとしていた

「新記録出したっていうのに、元気ないな」

「小松先生か」

隣には小松先生が座っていた

「なんだよ、それ。矢沢先生がよかったって思ったんだろ」

「うん」

私は矢沢先生の方を見て言った

「今日のお前なんか正直だな…」

「別に」

「なんかあったのか?」

「別に」

「よしっ!いいこと教えてやる」

私は小松先生を見た

「何々!?教えて!」

「午後の部の代表リレーに矢沢先生が出るんだよ」

…はっ?

何言ってんの?

もしかして…

「…矢沢先生って高校生なの?」

「アホか!んなわけねぇだろ」

「先生が言ったんじゃん」

「3年の男子の代表リレーに先生チームが加わるんだよ」

「あっ、そういうことか」

納得、納得

「元気出たか?」

「うん!超元気、先生ありがと!」

「おぉ」

小松先生はそれだけ言うとどこかへ行った