一途な彼女と意地悪な彼の物語

「おぉ、サンキュ」

先生が言った

ありがとうって言った

英語でだけど…

「先生ー!!」

体育館の中に入って行く先生を追いかける様に私も体育館の中に入った

「なんだよ」

「なんでもだよ」

「お前さぁ、帰らないわけ?」

「うん、帰らないよ?」

呆れ顔の先生

「帰れよ」

「嫌、葵帰らない!」

「なんでだよ、さっさと帰れよ」

最初は優しい口調の先生だったが、段々きつくなってきた

「葵は先生と一緒にいたいの」

「俺はお前なんかと一緒いたくねぇんだよ」

ヤバい…

泣きそ…

「葵、寂しかったもん…夏休みの間先生に会えなくて寂しかったんだもん…」

先生は私に背を向けて何か作業をしながら言った

「俺は夏休みの間、お前に会えなくて寂しいなんて思ったこと一度もねぇよ。逆に正々してたわ」

「なんで…なんでそういう…意地悪なことばっかり言うの?先生…ひどいよぉ…」

「これは意地悪でもなんでもねぇよ。本当のことを言っているだけだ」

あっ、ダメ…

もう…無理だよ…