一途な彼女と意地悪な彼の物語

「先生!!」

私は思わず先生のことを呼び、先生のスーツの裾を掴む

「なんだよ。まだ、用があるのかよ」

「ここ卒業したら…先生に会いに行くから…!先生に会いに行くから…」

こんなこと言うつもりはなかったけど…

こぼれ落ちそうな涙をこらえて言う

先生の顔を見ると先生は優しく笑いながら

「ふざけんな。会いに来るんじゃねぇよ」

今まで見たことのないくらいの優しい笑顔で言った

言ってることはキツかったけど顔は笑顔だった

嬉しかった

こらえきれずに涙がこぼれた

これが最後じゃないって思った

今、少しでも優しい言葉をかけられたら…

これで最後だって思っちゃうから…

もう、これで会えないんだって思えちゃうから…

「じゃあ、行くからな」

「うん。手紙読んでね?」

「わかったから」

私は手を振った

先生は体育館に私は教室へと歩いて行く

私はもう一度振り返り

「先生ー!またねぇ!」

先生は軽く手を上げて私に振り返す