一途な彼女と意地悪な彼の物語

「神崎!」

そう呼ばれた

私はゆっくり振り返ると

「先生…」

少し息を切らした矢沢先生が立っていた

「先生…先生…!」

私は泣き叫んだ

私は先生にゆっくり近づく

「お前、顔ぐちゃぐちゃだな」

笑いながら先生は言った

でも、髪色が派手だから誰だかすぐにわかったよ。と言った

「なんでここにいるの?」

私が聞くと先生は

「中川がお前からって言ってこれ、渡してきてさ」

先生は私が紗英ちゃんに渡した手紙を持っていた

紗英ちゃん…

ちゃんと渡してくれたんだ

「会いに行って、そう言ったんだよ。1週間、あの子は我慢したから会いに行ってあげてって言った」

紗英ちゃん…

ありがと…

次々に涙が溢れた

「中川がいてよかったな。もし、中川がいなかった俺は今頃お前に会いにきてなかったよ」

そうだね…

先生の言う通りだよ

「中川にちゃんと礼言っとけよ」

「わかってるよ」

私は素っ気ない返事をした

「わかってるならいいよ」

先生は少し笑いながら言った