「でもさ、やっぱり。先生はさ、嬉しかったのか…」

「何がだよ」

「葵はさ、会いたいって思うし。悲しいけど…先生はそんな風には
思わないんだろうなってさぁ」

それが私の本音だった

さっきの話を聞いてもそんな風に思った

だって…先生、私のこと大嫌いだもん…

「お前…本音にバカだな」

「しょうがないじゃん…先生、葵のこと大嫌いでしょ?」

呆れた顔の小松先生

「はぁ…まぁ、矢沢先生もわかりにくいけどさ…」

「うん…」

「お前の前ではさ。結構、意地悪なこととか言ってたけどさ…」

何言ってるんだろ…

「小松先生ー?」

「言っていいのかわからないけど言うわ」

「うん…」

「矢沢先生、職員室でいつもお前の話してたんだよ」

私の話…?

「神崎が授業でいいタイム出したとか…今日の授業は頑張っていたとか、授業のときに少し泣いてとか」

先生…

私のこと見ててくれたんだね…

本当に私は何も知らなかったんだね…

私はまた涙がこぼれ出た

「矢沢先生は口ではひどいこともたくさん言ってたど、表情がなんか…笑ってたよ。お前の話をするときは楽しそうだったよ」

「…」

本当か嘘かわからない…

「嫌いとか言ってたけど、俺はそんな風には見えた」

「嘘?」

「本当にバカだな。お前と同じくらいこの2年間、矢沢先生のことを見てきたんだよ」

「わかった…信じるよ…」

小松先生がこれだけ言うってことは本当なんだよね…?

ねぇ、信じていいんだよね?