先生は体育館の中をくねくね歩く、その後を私が追う

服の裾を引っ張りながら

「お前、マジうぜぇ」

「大丈夫だよ」

何が大丈夫なのか自分でもよくわからない

「どっか行けよ」

「イヤだってば!何回言ったらわかるのー」

「今何時だよ」

私はケータイを取り出した

「もうすぐ、12時になるよ」

HRが終わったのは11時過ぎ

そろそろマジで帰らないとヤバいかもな

「お前、帰れって…」

「うん。そうだね、帰る」

私は舞台から飛び降りた

ドンッと鈍い音がした

「痛いー!!」

シューズを履いてない私は着地のときに滑って転んだ

「痛いよぉ…」

「大丈夫か?」

「お尻痛い…」

「本当にバカだな。お前は」

バカって言うな…

先生だってバカじゃん

「あまりにひどかったら保健室寄ってから帰れよ」

舞台の上から言っているので先生の顔を見ることはできない

「先生ー起き上がれない」

「ったく…」

先生も舞台から飛び降りる

「ん」

先生はそう言い、手をのばした

「…」

「何黙ってんだよ。起き上がれねぇんだよ?手かせよ」

「うん…」

まさか、そんなことを言ってくるとは思ってなかった

いつもみたいに、うるせぇとかそんなことを言ってくると思ってた