2学期が始まり、数日が経った

私は休み時間になるとグラウンドにいる先生の元へ行く

「先生ー」

ベンチに座っている先生に話かける

「なんだよ」

私も先生の隣に座る

私はずっと前から気になっていたことを聞いた

「ねぇ先生。先生はなんで先生になったの?」

「あ?俺が教師になって悪りぃかよ」

嫌味っぽく言う先生

「別にそんなこと言ってないでしょ?ただ、葵はなんで先生が先生になったのか気になったの」

「なんでお前に言わなきゃなんねぇんだよ」

本当、ひねくれてるなぁ

「だって先生さ。スポーツ選手とかになってそうじゃん」

「俺だってなりたかったよ」

先生は真っ直ぐ前を見ながら言った

その横顔はなんだか少し悲しそうだった

「じゃあ、なんでならなかったの?」

「お前に関係ねぇだろ」

「関係あるないを聞いてるんじゃないんだよ?」

「ったくお前は…」

先生の顔をじっと見た

「儲からないからだよ」

「お金が?」

「あぁ。契約するところはいくつもあった」

私は1番大切なことを聞いていなかったのを思い出した

「先生、なんの選手になりたかったの?」

「陸上」

あっ、聞いたことあるかも…

先生、大学生の頃陸上の選手だったとか誰かが言ってたかな?