一途な彼女と意地悪な彼の物語

その日のお昼に私は先生のところへ行った

「先生ー」

私はそう言い体育館を覗いた

先生は舞台の上に座っていた

「なんだよ」

そう言う先生の声が聞こえた

私は舞台に駆け寄り、ピョンと飛びのった

「先生!」

「お前さ、ベランダ出るなって」

「先生が手振りかえしてくれたらもう出ないよ」

「それってまた、ベランダ出るってことだよな?」

「あっ。そうだね」

私が言うと先生は小さくため息を吐いた

「本当にお前は…」

先生はいつも最後まで言わない

「本当に葵が何?」

「なんでもねぇよ」

「なんでもないわけないでしょ?」

「お前に言ったってわかんねぇよ」

「そんなのわかんないじゃん」

先生の腕を軽く叩く

「痛いんだけど」

「大丈夫だよ」

「いや、痛いから」

その後も私と先生は言い合いをしていた