下駄箱で、靴を履きかえている時


「ねぇ、渉くん。よかったの?」

「何が?」

「さっきの子……」


そりゃ、はっきりと断ってくれて嬉しい。


それに、あの子は、いつも小林さんのグループにいないけど。


呼び出されたらどうしよう


と怖くなる。


「胡桃は、受け取って欲しかったの?」


受け取って欲しくない。


でも、そんなはっきりと言っていいの?


私が黙っていると


「胡桃?嫌なら嫌って言っていいんだよ」


渉くんは、私の顔を覗き込む。


「……嫌」


私は小さな声で呟く。


すると、渉くんは私の頭をポンポンッと軽く叩き


「帰ろう」


嬉しいそうにそう言った。