「……あんた達、私達の事忘れてない?」


私達の近くで繭花と橘くんは呆れた表情で私達を見ていた。


嬉しさのあまり抱き付いちゃったけど。


見られていたと思うと恥ずかしい。


繭花と橘くんの存在を思い出した私は、恥ずかしくなり渉くんから離れようとする。


だけど、渉くんは私を抱きしめる腕の力を強める。


「いいじゃん。どうせ、今、他に人いないんだし」


そう……


運が良い事に、食堂には人が私と渉くん、繭花と橘くんの四人しかいなかった。


繭花達の前でも恥ずかしいのだけど、他に人がいない事に、私はホッとした――…