pure love

「若菜?」

「胡桃……。泣いた理由って、その事?」

「……うん」


若菜は私の手を取り


「誕生日なのに、五十嵐くんがバイトで寂しかったんだよね」


目に涙を溜めて、私を見る。


プルルル プルルル――


「あっ、俺だ」


そう言うと、橘くんはポケットから携帯を取り出す。


「もしもし、どうした?……ん?日向?ちょっと待って」


そう携帯で話すと


「陸。お前が電話に出ないから心配してる」


若菜に携帯を渡す。


「あっ!携帯、部屋に置いてきてる」


若菜は橘くんから携帯を受け取り、慌てて耳に当てる。