pure love

「……なんでもない」


何も言えなくなった私は、俯いてしまう。


ここで素直に“会いたい”なんて言えたら、いいんだろうけど。


私には言えないよ。


だって、ワガママだなんて思われたくない。


でも……


明日は渉くんと一緒にいたい。


心の中がモヤモヤしてくる。


さっきまでの、クリスマスツリーを一緒に見ていた時の幸せな気持ちは、どこかへ行ってしまっていた。


「じゃぁね!明日バイト頑張って」


それだけ言うと、私は渉くんの顔も見ずに、寮の中へ駆け込んだ。