pure love

「ごめん。私も胡桃も人前で歌うの苦手なの」


若菜が、自分の思う事をちゃんと陸くんに話していた事に驚いた。


だって、昔の若菜なら、真っ赤になっておどおどしていたはず。


私は、渉くんとはドキドキしてなかなか自分の思う事を言えないけど、好きな人以外には普通に話せる。


若菜、成長したな。


私はどうなんだろう……


大分、渉くんと話せるようになってきたけど、やっぱりドキドキするし、自分の思う事を話すのは今も苦手だ。


「胡桃も若菜も歌いなよー!」


繭花がマイクを持ったまま喋る。


……ねぇ、繭花、お願い。

マイク越しに喋らないで。


私は、「無理だよ」と言おうとしたのだが……


その前に


「俺、胡桃の歌、聞きたいな。いつもカラオケ嫌がるだろ?なっ?だから歌ってよ」


なんて、渉くんに言われてしまった。