わたしとあなたのありのまま ‥2‥



 と、

「走れ、ほのか」

 言って田所が駆け出した。

「え?」

 訳がわからず、頭の中がパニックに陥る。
 けれど、田所にもの凄い力でグイグイ引っ張られ、転ばないようにと足を必死に動かした。


 田所は自分のクラス、7組を通り過ぎ、突き当りの物理実験室まで来ると、ようやく立ち止まった。
 そうして繋いでいた手を不意に離した。
 私の手がスルリと落ちた。

 温もりを失った私の右手がみるみる冷えていき、また不安になる。


 ゆったりとした動きで、田所が目の前のスライドドアを開けた。
 誰もいないガランとした教室には、長机が規則正しく並んでいた。

 物理実験室なんか、初めて見る。
 無機質なその空間は、どんなことをする場所なのか想像すらつかない。

 文系の私なんかが足を踏み入れてはいけない、異世界のように映った。