田所は北校舎、私は南校舎だ。
別れるべきはずの、2階の南校舎へ続く渡り廊下まで来ても、田所は私の手を離さず、そのまま北校舎を田所のクラスへ向かって歩き続けた。
「ねぇ、田所、私はこっちじゃないよ」
手を強く引かれ、その力に逆らうことができず、仕方なく引っ張られるまま田所の数歩後を歩きながらも訴えた。
田所は「うん」とだけ答え、振り返ることも、足を止めることもしてくれない。
何を考えているのだろう。
顔が見えないから、どんな表情をしているのかもわからない。
始業のチャイムが鳴った。
ここからじゃ、走って戻っても5時限目の授業に間に合わない。



