「先輩、それ以上しゃべらないで貰えますか?
元カノの悪口言われるの、気分悪いです」
不必要なほど丁寧な言葉を使うので、田所の怒りは爆発寸前なのでは、と益々不安になった。
「悪口じゃねぇよ、褒めてるよ?」
エリカ先輩の彼がそう言うなり、田所が一歩踏み出して距離を詰めた。
そうしたことで、目線の高さの差が歴然となり、田所が見下ろす形になった。
「先輩、喧嘩売ってんですか?
だったら買いますけど」
その怒りは私に向けられている訳ではないのに、言い知れない恐怖に襲われた。
口調は静かだが、凄まじい迫力があった。
えりか先輩の彼氏もそれは同じだったようで、怯えた表情を隠しきれずにその顔に浮かべ、一歩後ずさった。



