わたしとあなたのありのまま ‥2‥



 決して裏切った訳ではないのに、罪悪感がある。
 田所に優しくされればされるほど、それは私の中で大きくなった。

 どうしたらいいのか。
 わからない、わからないよ。


 三年一組の教室の前で立ち止まり、スカートのポケットから屋上の鍵を取り出した。

 私の横を通り過ぎようとした女子生徒に、

「あの」

 と声を掛ければ、彼女は足を止めてくれ、「ん?」と首を傾げた。


「イイジマチカシ先輩って知ってますか?」

 ビクビクしながら尋ねれば、

「ああ、5組の?」

 と返って来た。

「5組ですね、ありがとうござ……」

「貸して」

 田所がお礼の言葉を途中で遮って、私の手から屋上の鍵をスッと抜き取った。
 そうして、その女子生徒の目の前でそれをブラブラさせながら、

「先輩、申し訳ないんですけど、これ、その人に渡してもらえませんか?」

 言って、まるで子どものように無邪気に笑って見せた。