わたしとあなたのありのまま ‥2‥



「ふざけんな。
 てめ、俺にここまで来させといて。
 俺も行く」

 最も恐れていた言葉をその口から落とした。

 本当に。
 どうしたら良いかわからなくて、泣きたくなった。

 と、たちまち田所の顔が不安気に染まる。
 漆黒の瞳を揺らしながら、「何かあった?」と聞かれ、とうとう視界が滲んだ。


「鍵……返さなくちゃいけなくて。
 三年……生に」

 声を絞り出すようにしてやっとのことで答えると、田所はそれ以上何も聞かず、「ついてってやるよ」と私の手を取った。


 教室を出て廊下を歩きながら田所は、

「何組?」

 と柔らかい口調で聞く。
 そんな気遣うような態度も、私を苦しくさせる。

「わからない」

 俯いたまま答えた。

「んじゃ、1組から攻めるか」

 冗談っぽく言って、田所は繋いでいる手にキュッと力を込めた。