「仲いいね」
朱莉ちゃんがクスリと笑いながら言うと、「どこが?」と返しつつ、田所も笑った。
作業が完了したので、お礼を言いながら、早々にボタンを嵌めて『まな板』を隠した。
「おっせぇよ、何やってたんだよ?」
田所に言われてようやく、今日、田所たちと約束をしていたこと思い出した。
「ゴメン、急用が出来ちゃって。
今からまだ行かなきゃなんないとこあるし」
言うと、予想どおり「どこへ?」と尋問が始まる。
何て答えればいいのだろう。
冬以との屋上でのやり取りは、田所に知られたくない。
また傷つけてしまいそうで。
「野暮用だよ。
できるだけ早く戻るから、照哉くんたちと待ってて」
言って、教室出口へと駆け出した。
綾子と照哉くんは、きっとまだ秘密の喫煙所(中庭)にいるはず。
けれど、すぐに腕を掴まれ引き留められた。
恐る恐る見上げれば、いつもの不機嫌顔が見下ろしていた。



