わたしとあなたのありのまま ‥2‥




 用を足してトイレの個室から出ると、ブラウスの胸ポケットに入れていた携帯電話が震えだした。
 トイレぐらいゆっくりさせてくれよ、と心の中で毒づきながらも、慌てて手を洗った。


 画面には、登録されていない番号。

 ほんの一瞬迷ったけれど、変更のお知らせメールを貰っても、電話番号を登録し忘れることが少なくない私は、深く考えることなく電話に出た。


『俺だけど』

 そんな風に言われてもわからない。
 黙ったままでいると、相手の男は続けた。

『あれ? 忘れちゃった?』

 頭の中がグルグルと回っている感覚。
 少し声が違って聞こえるけれど、思い当たる人物は一人しかいなかった。


 ゆきさんの彼氏、冬以。