制服を元通りに着終え、帰るね、と伝えると、田所は「送るわ」と当然のように言って立ち上がった。 部屋を出たら、同じタイミングで隣の扉も開いた。 心臓が跳ねた。 咄嗟に、田所のTシャツの裾をギュッと掴んだ。 ゆきさんの部屋からあの人が出て来るかも知れない、そう思ったら、全身が激しく脈を打ち、呼吸すらもしんどく感じた。 「行こう、田所」 早々にその場を離れたくて、Tシャツを掴んだまま、田所を引っ張るようにして歩き出した