田所の腕が伸びてきて、私を包み込む。
 顔を田所の胸に押し付けられ、息ができず、すぐに苦しくなった。

 キツイ腕の中で、必死に動かして横を向く。

 頭の天辺に田所の熱い息がかかっている。
 それが髪の中に浸透してくるように感じて。
 田所は生きているのだと、何故か安心する。


「もっかい泣いていい?」

 田所の口からこぼれた緩やかな呟きに、また胸が締め付けられた。

「うん」

 答えれば、

「見るなよ?」

 悪戯っぽい口調で言う。
 無理して明るく振舞おうとする田所が、尚更痛くて。

 苦しい……