わたしとあなたのありのまま ‥2‥



「ねぇ、あんた、田所悠斗の彼女?」

 不意に背後から声を掛けられ振り向けば、いつの間にかゆきさんの彼が私のすぐ後ろに立って居て。
 氷のような冷たい無表情で私を見下ろしていた。


「どうして?」

 特に理由はないけれど、なんとなく答えたくなくて聞き返した。


「彼女なら、これ、あいつに返してくれる?」

 さっきは気付かなかったけれど、彼の手には百合の花数本が握られていて。
 それを私に差し出し、彼はその顔に薄っすらと笑みを浮かべた。

 透き通るほどに美しく映るその微笑みは、とても悲しげで。
 訳も分からず、胸がキュッと締め付けられた。