田所が更に膨れるけどそんなのお構いなしで、「行こ」っと田所の手を引き玄関に立つ母とすれ違って家に入った。
「お邪魔します」
靴を脱ぎながら礼儀正しく挨拶する田所が妙に可愛くて、それがまた可笑しくて、つい笑い声を再び漏らしてしまった。
そんな私が益々気に入らないらしい田所は、階段を私について登りながら、お尻にガンガン頭をぶつけてくる。
「痛いって!
ゴメン、私が悪かった」
謝りながらも、未だ私の顔は緩んだままだ。
だって……
全身の筋肉が緩んでダラダラになるほどに幸せなんだから、仕方がないでしょう?



