わたしとあなたのありのまま ‥2‥



「上がって貰ったら?」

 玄関から顔を覗かせた母は、満面の笑みを浮かべて言う。


「いつから見てたの?」

 嫌な予感が頭の中で渦巻いて、ムスッと膨れて問えば、

「覗き見なんかしてないわよ、人聞き悪いこと言わないで」

 と返して、ふふふと笑う。


「絶対見てたし」

 疑心が確信に変わり、恥ずかし過ぎて今すぐに消えてしまいたいと思った。


 そんな中、田所が、

「は、じめまして。
 オレ……ちがっ、ボク、田所悠斗って言います。
 ほのかさんと同じ高校に通ってます」

 緊張しまくって噛みまくりの、間抜けな挨拶をするもんだから、ブッと吹き出してしまった。


 たちまち田所がいつもの不機嫌顔になる。
 尚更可笑しくて、声を上げて笑ってしまった。