私の腕が田所の胸と自分のそれに挟まって、骨が軋むほどに痛い。
でもそれは苦痛なんかじゃなくて。
ただただ、温かくて心地よくて幸せで。
私が握っている、田所から貰ったカチューシャが壊れてしまわないかと、それだけが唯一不安だった。
「田所がハゲてデブっても、私だけは愛してあげるから」
「うん、俺も。
ある日突然、朝目覚めたらほのかがブタになってても、俺はブタほのかを愛し続けてやる。
まぁ今とそんな変わんねぇから、特に問題ないし。
でもたまに人間と浮気するかも。
そこは大目にみろな」
「何それ? 本気でムカつく。
そして長い!」
田所が喉奥を鳴らして笑う。
それが私の鼓膜を揺らして、また幸せな心地よさに満たされた。



